電子出版で、出版社が生き残る鍵は「マーケティング」ではないか

たけくまメモ『それでも出版社が「生き残る」としたら』によれば、電子出版が現実になった今、
・これからは著者が編集者や営業マンを雇う時代になるかもしれない。
・編集者は、弁護士や税理士のような役割になる。
・出版責任を担うための出版社はおそらく残っていく。
ということだ。
出版社が、著作物のリスクマネジメントで生き残るかといえば、一般的には個人でそれを担保できない以上、そのとおりかもしれない。ただし、リスクマネジメントは、本来、出版社ではなく保険会社が担うべき機能ではないだろうか。

また、実際には出版の分野にもよると思う。私がかかわる専門書では、著作権侵害を除けば、他人を誹謗中傷することもない。リスクは低いと言えるだろう。

むしろ、出版社が生き残るためには、
・「どんな情報を発信すれば世の中で受けるのか」というマーケティング
・「情報をいかに編集すれば読者にわかりやすいのか」というデザイン
に関する専門力が鍵になるのではないか。

もちろん、その専門性をAmazonなり、執筆者なりが保有すれば、出版社の存在価値は相対的に低くなるわけだが、これまでのノウハウ蓄積により一日の長があると考える(全ての出版社が持っているわけではないが)。

また、今後、出版のハードルが下がってくると、素人ライターによる粗製乱造が起きるのは間違いないだろう。すると、世に出された電子書籍や雑誌の品質を評価する役割が、ますます重要性を増すのかもしれない。

それを出版社が担うのか、書評家が担うのか、Amazonの読者レビューが担うのか、もう少し考えていく必要がある。

※追記:自費出版の時代 - 池田信夫blogに、関連記事あり。以下に一部を引用。

自費出版ではアマチュアトンデモ本と本物の学術書の区別がつかない。これを審査するレフェリーをつけた電子出版プラットフォームができれば、手数料を20%とるだけでも十分ビジネスになるだろう。