技術力以外にも注目しよう

ソフトウェア業界コラムもこれで最終回。改めて自分が生息している業界を振り返って、その動向を述べ、就活で大切なポイントに触れた。

Vol.6『技術力以外にも注目しよう』

一つは、IT業界で成長している会社は、ソフトウェアの受託産業から顧客の問題解決産業へ向かっているということ。

すなわち、ソフトウェアありきの仕事の進め方では、本当の意味で顧客の問題を解決することにはならない。ソフトウェアは手段であって、目的ではないからだ。

そして、会社選びのポイントとして、次の3つをあげた。
・社員が楽しんで仕事をしているか
・人材育成に熱心な会社か
・新しいことにチャレンジしているか

風通しが良い組織であればあるほど、社内のコミュニケーションが円滑で社員は明るい。また、人が資本のIT業界では、人材を育成しない限り、明日はない。

しかし、これは、教育環境の整備だけによらない。研修は所詮、研修でしかない。実務の中で学ぶのが一番、効果的だ。

そのためには、仕事を成長の機会としてとらえ、学ばせる/学ぶ姿勢が重要になる。その意味で、新しいことへのチャレンジは、人にとっても会社にとっても、大きく成長するチャンスである。

たとえば、未経験の業界や業務を対象にする。新しい開発手法を取り入れる。オフショアに展開するなど、その方向性には色々とある。新しいことにチャレンジするのはリスクではない。チャレンジしないことが、将来に向けた成長リスクになるのだ。

タイトルに、「技術力以外にも」と銘打ったのは、この業界、技術偏重の傾向にあるエンジニアが多いように感じられるから。大学レベルで身につけた技術力では、会社に入ってもそれほど通用しない。また、標準化・普及している範囲の「技術力」はポータビリティなため、その気になれば、どこからでも買ってこれる。

逆に、強みになるのは、個人個人に染みついている思考力や対話力、発想力だ。就活している学生諸君には、ちょっと難しすぎたかもしれないが、業界で仕事をするにあたって、そのことを頭に入れておいてほしい、という思いをこめた。