ライフハック+ソフトウェアの視点=『頭のいい段取りの技術』

頭のいい段取りの技術
頭のいい段取りの技術』は、「効率マニア」を自認する藤沢晃治氏の著。

段取りをテーマにしているが、最近、多数、出版されているライフハック系の本の一種と言っていい。

ただし、ソフトウェア開発における効率化のエッセンスを、ライフハックとして提示している点が類書にはない。
氏は、効率化の基本として、なにをするにも、ゴールのイメージをもって絶対に成功させるという強い意識で取り組むことが大切と説く。本書を読めば、時間管理や文書作成などの知的作業、コミュニケーションのとり方にいたるまで、何に注意して段取りをすれば効率的なのかがわかる。

取り上げているハックには、よくあるブレーンストーミングやメモ術、朝時間の活用などもあるが、クリティカルパスCCPMでいうところのバッファ、品質基準におけるフォーナイン、デフォルト設定など、ソフトウェアエンジニアリング発のアプローチも多数、盛り込まれている。これは、藤沢氏がソフトウェアエンジニア出身であるゆえんだろう。

しかし、私は、同じく藤沢氏が書いた名著『「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス)』ほどのインパクトは受けなかった。それは、取り上げているハックの多くが、私には既知だったからなのか、はたまた私自身もソフトウェア開発に関わっているからだろうか。

だが、企画の切り口には感心させられ、また参考になった。ソフトウェア開発に関わっていると、効率や品質へのこだわりが強くなり、ときには自己満足の域にも達してしまう。しかし、”効率的な進め方”という視点でみれば、それに関わっていない人にも、十分に参考になる。そのことを、本書は、わかりやすく証明してくれている。

第1章 「段取り」とは一体なにか?

第2章 余裕を生み出す「予定・時間管理」の段取り術

第3章 仕事スピードが上がる!「環境・情報整理」の段取り術

第4章 超効率アップ!「知的作業」の段取り術

第5章 できる人の「コミュニケーション」段取り術

第6章 「ゴチャゴチャ仕事」の段取りのつけ方・動かし方−実践編

終章  段取りの目的は人生を楽しむこと!