スタバ中毒のあなたに贈る本-『スターバックス5つの成功法則』

スターバックス5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」の精神スタバの株主として、この本を読まずにはおられない。
スターバックス5つの成功法則と「グリーンエプロンブック」の精神』は、スタバのパートナー(従業員)なら全員が携帯しているという「グリーンエプロンブック」にある5つの原則を中心に、スターバックス経験が紹介されている本である。

私は、スタバによく通っている。とくにコーヒーが好きというわけではないが、数度、利用するうちに、居心地の良さとともにスターバックス経験に出会い、今後の成長を予測して株主にもなった。今回、本を読んで、ますますの成長を確信した。
私自身、小さな「スターバックス経験」をしたことが2度ある。1度目は、都内の駅に併設されたスタバ。混み合うことが多い店だが、注文する前から、場所の確保を優先してくれ、ソファのスペースが空いてきたら、動くように声をかけてくれた。

また、中国の大連にあるスタバでは、日本人と見るや、自分の友人が神戸にいて、こういう仕事をしている、というように英語で話しかけられた。やや無愛想な中国人の方が多い中で、女性の自然な笑顔が実に印象的だった。

それ以来、スタバの株主になり、カフェに行くときはスタバと決めている。

本書によれば、スターバックス経験の教義には、次の5つがある。

  • 独自の経験を作る
  • すべてが大切
  • 嬉しい驚きを作り出す
  • 反対意見を受け入れる
  • 足跡を残す

スタバの従業員はよく気がきく。だが、マニュアル化された対応とは異なり、個々の客の状況に応じて、自然に最善な対応をしているように見受けられる。それは、教義のうち、「独自の経験」「嬉しい驚き」という二つの言葉に凝縮されているように思う。

スタバが、企業戦略としてあげている、家庭でもないオフィスでもない「サード・プレイス」(第3の場所)の提供。これと同じように、なにかリクエストを受けても、「イエス」でも「ノー」でもなく、「どうすればできるか」という第3の対応を、パートナーが自立的にできることが強みと言える。

ただ、スタバの素晴らしさとは裏腹に、本自体の出来には、やや首をかしげざるを得ない。いたるところに、スターバックス経験がてんこ盛りになっており、これだけ美談ばかりが並ぶと、食傷気味にもなる。

新聞記者による批判への対応などあるも、ほとんど大きなトラブルもなく、会社が大きくなっているようなストーリーにはやや疑念を感じざるを得なかった。成功法則の影には、数知れない失敗があるはず。しかし、そのエピソードがあまり多くは語られてはいない。

残念ながら、本書では、起きた問題をマイルドに仕上げすぎているようだ。エスプレッソのように、コクのある本に仕上げてほしかった一冊である。

法則1 独自の経験を作る

法則2 すべてが大切

法則3 嬉しい驚きを作り出す

法則4 反対意見を受け入れる

法則5 足跡を残す

日本語版特別インタビュー 日本のスターバックス、成功の理由